野幌森林公園を歩く ~滅びゆく塔と息づく自然
秋も深まり、白い季節も刻々と近づく今日この頃。
ときおり差す暖かい日差しを求めて広い公園を歩くのも良いものです。

今回は、ここ野幌森林公園を散策してみます。
札幌の東端、江別・北広島と接する地域に、2053hrもの広さを持つ広大な森林があります。
札幌近郊のMAPを見ると、右下にひときわ大きな緑のエリアがあるので、すぐわかりますね。そこが野幌森林公園です。
明治期には今の2倍の広さがありましたが、伐採、開墾により縮小され、天然記念物への指定、解除が繰り返されたのち、1970年頃に公園として整備されました。
以来、市民の憩いの場として親しまれ、現在に至っています。
最近では熊が出没するという事件があり、ニュースにもなりました。
でも、本来の生息域から遠いこの森に熊が迷い込むことは滅多にないはずなので、今は心配無用だと思います。たぶん。

公園の一角には、高さ100メートルの百年記念塔が聳え立ち、そのふもとには緑の芝生がひろがっています。
塔へと続く道はゆるやかな登りになっており、塔の土台となる石畳のエリアまで来ると札幌の中心部を見下すことができます。
樹木が多く、見渡せるのはごく一部ですが…

百年記念塔です。
こんなに独創的でかっこいいデザインの塔は世界でもめずらしいと思います。
残念なことに、この塔は老朽化を理由に解体されることが決定しています。
設計者も、完成から50年を待たず解体されるとは思いもしなかったはず。
半世紀の間、北海道のシンボルとして存在感を放っていたこの塔を救うすべは無いのでしょうか。

塔の周囲にはロープが張り巡らされ、立ち入り禁止となっています。
かつてなみなみと水を湛え、オタマジャクシの楽園となっていた人工池は、今は水も枯れて干上がってしまいました。

休憩所があります。
ここには昔、蕎麦などの軽食が食べられるコーナーもありました。
今では数台の飲料自販機があるだけになっています。


大地の手
1973年、有志の人たちが協力して作り上げたユニークな広場です。
5300人もの人々の手形が集められたレリーフが立ち並んでいます。


さまざまな年齢、さまざまな立場の人たちが、ここに手形を残し、メッセージを記しています。
手形を残した人たちは、この50年どんな人生を送ってきたのでしょう。


遊歩道の入り口です。
いくつかのコースに分かれた遊歩道があり、この広大な森林をぐるりと巡ることができます。


野鳥の気配が濃厚です。双眼鏡や望遠レンズを装着したカメラを持った訪問者が集まるスポットもいくつかあります。
反面、わたしはここで小動物を見かけた経験がありません。
キツネやタヌキ、ウサギやエゾリスなどの哺乳動物が生息しているはずですが、警戒心が強いのか、遊歩道付近では姿を見かけません。

記念塔から数分歩いたところに、北海道博物館があります。
入館料は、個人一般600円、大学生・高校生300円となっております。詳しくは施設の公式ページをご確認ください。

北海道の自然や開拓の歴史、アイヌ民族の文化についての展示が数多くあり、非常に見ごたえのある博物館です。
1971年に「北海道開拓記念館」として開館して以来、何度かのリニューアルを経て現在の内容になっています。
2013年以前は、資料偏重の少し堅い展示内容だった印象があります。ですから今は、よりわかりやすく楽しい展示になっているなぁと感じます。

北海道開拓の村
道内屈指の野外博物館、「北海道開拓の村」は、博物館から徒歩でも行ける距離にあります。


開拓時代に使用された建物が移設、あるいは忠実に復元されており、くまなく見学すれば半日は潰れるくらいのボリュームがあります。
タイミングによっては来客が少なく、まるで開拓時代にタイムスリップしたような感覚を味わえます。
漫画「ゴールデンカムイ」の背景に使われた建物も多数あり、ファンの聖地となっているようです。
入館料は、個人一般で800円。大学生・高校生は600円となっております。詳しくは施設の公式ページをご確認ください。
博物館とセットで安くなる場合もありますよ。
わたし的には、ここと網走の「博物館網走監獄」が道内の野外博物館ツートップだと思います。
今回は、大まかな紹介で終わりましたが、ゆっくりまわれば1日中楽しめる公園なので、市民はもちろん道外からの観光客にもお勧めできます。
なお、飲食できる施設は開拓の村の中にしかないので、入村する予定がない方はお弁当持参を推奨します。