札幌大仏めぐり part1~札幌薬師大仏

大仏と言えば、奈良の大仏さまを思い浮かべます。
奈良の大仏が造られた理由のひとつは、当時、多くの人の命を奪った疫病の終息を祈願するためだったといいます。
疫病とは天然痘であり、このとき日本では天然痘で150万人もの死者が出たらしいということです。
医学が発達していなかった昔、この病を退けるには神仏に頼るしかなかったのでしょう。

さて、コロナウィルスの蔓延で不自由な生活を強いられている私たち。
ワクチンが完成するその日まで心が休まることがありません。
こんなときこそ、ご先祖さまたちに倣って大仏様のお姿に心の平安を求めるのも悪くないでしょう。
 
 

というわけで、札幌にいくつかある大仏様の一つ、「札幌薬師大仏」のご尊顔を拝みに伺いました。

場所は、白石区北郷。道央自動車道・北郷ICのそばにある北郷公園の北東にすぐのところです。
月寒川の土手を横目に住宅街を走ると、やがて黒々としたお姿が見えてまいります。
塀に囲まれた結構広い駐車場の真ん中に、大仏様は鎮座されております。
なんでもコロナ禍の前は、アジアからの観光客が大型バスを連ねて、わらわらと参拝に押しかけたと聞いています。
仏像を見慣れたアジアの人たちにとっても、ここまで大きな仏様は珍しいのでしょうか。
 
 

こちらの大仏さまは、薬師如来(またの名を医王如来)といって、人々の病を治し安楽を与える仏様だとのこと。
こんなご時世、なんと頼りになる仏様ではないですか!
開眼法要が行われたのは平成24年と、比較的最近のことですね。
 
 

仏像そのものの高さは8.4メートル。台座を含めると13メートルの高さになり、鎌倉の大仏様と同じくらいになります。
間近に立っと見上げると、大仏様のお顔がかなり高い位置にあり、いかに大きいか実感できます。
総重量は25トン。素材は青銅で、遠目からは真っ黒に見えますが。光の当たりかたでシルバーにも見えます。
 

おなじみの頭髪はパンチパーマではなく螺髪(らほつ)という名で、一つ一つが小さな巻貝のようになっていて、この仏像ではそれが861個も集まっているそうです。
眉間の突起は白毫(びゃくごう)という名。これも初めて知りました。
左手に乗っているのは薬壷(やっこ)。ここに体や心の病を治す薬がはいっているといわれています。
右手のかたちは愚地独歩と違いました。
 
案内板にある作法に則ってお参りします。
心なしか、不安が和らいだ気がしなくもないです。来て良かったかも。
 
 

道路を挟んで向かい側にあるのが曹洞宗大昌寺。
大仏様は、こちらの住職さまの発案で建立されました。
 
 

川べりから大仏さまの後ろ姿を眺めます。
どこかシュールな光景にも見えますが、札幌の街を見渡し人々を見守っているようでもあり、そう思えばありがたく感じるのです。