トムとジェリー展に行ってきた!~ハンナ・バーベラとかの話も

トムとジェリーは、2020年で誕生80周年を迎えたそうで、これまで東京やその他の都市で展覧会が開催されていました。
札幌での開催は、コロナ禍による延期を経て令和3年1月20日に実現しました。
場所は札幌三越本館10階催事場です。
TVでCMも流れているこのイベント。はたしてどんな内容だったでしょうか。
 
 

想像以上の人気です。
会場がある10階は、三越の他の階と段違いの客入りです。
チケット売り場=入口には途切れることなく人が吸い込まれていきます。入場無料のグッズ売り場も、かなりの人だかりで、レジにも人が列をなす状態。
密が避けられない様子にビビりながら、チケットを購入し入場します。
 

老若男女、客の年齢層はさまざま。
なかでも目立ったのが、1950~1970年代生まれとおぼしき年配の方々。
その昔、北海道では夕方の時刻にトムとジェリーの再放送が何度も何度も繰り返されていたので、ある程度年齢のいった道民には、トムとジェリーは忘れられない作品となっているのでしょう。かくいう私もその一人ですが。
 
展示スペースの壁には、トムとジェリー本編で実際に使われた原画、セル・セットアップ(背景画とセル画を重ね合わせたもの?)などが掛けられています。
遮るものがないので、かなり顔を近づけて見ることができますよ。★触るのは絶対NGです。
また、制作者のウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラについて述べたボードもあり、彼らの功績を知ることができます。

所々で、天井に設置されたプロジェクターから作品本編が投影されており、トムとジェリーの名作エピソードに見入ることもできます。
※しかし、みなさんがそこで立ち止まるので列の流れが止まってしまい、高速道の渋滞のようになっていました。

名作と名高いエピソード「上には上がある」「ピアノ・コンサート」「武士道はつらい」などにスポットライトを当てた展示が多くあります。
ファンは必見ですね。

写真を撮ることが可能な展示物が制限されているので、原画などの写真を載せることができないのが残念です。
しかし、制作当時の原画、鉛筆描きと思われるラフ画はすばらしく、それらを見るだけでも来場の価値はあります。
黄ばんだセロテープで補修されたものもあり、貴重な資料であることは間違いないです。
それにしても、動くことを想定した1枚の絵にしても、躍動感がすさまじく、アイデアが詰まっていることに感心します。
 

こちらは撮影が許された展示物の一つ。トムがジェリーを捕まえている場面ですね。
この表情には見覚えがあります!
 

オリジナルのトムとジェリーは、制作スタッフの違いによって「ハンナ・バーベラ期」「ジーン・ダイッチ期」「チャック・ジョーンズ期」に分けられますが、この展覧会では「ハンナ・バーベラ期」についてしか触れられていません。
※後年に制作された新シリーズの展示はあります。
私はチャック・ジョーンズ(ロードランナーシリーズなどで有名)も好きなので少し残念ですが、ハンナ・バーベラをメインに据えることで、この後の展示に繋がるので良かったのかなと思います。
 

ジェリーやスパイクにしてやられたトムは、しばしば物理的にありえない変形を見せてくれました。
リアルに再現したフィギュアは見ものです。
 
 

展示物の3分の2はトムジェリ。残り3分の1は、他のハンナ・バーベラ作品です。
とりあげられていた作品は、「原始家族フリントストーン」「宇宙家族ジェットソン」「クマゴロー」「弱虫クルッパー」「スーパースリー」「チキチキマシーン猛レース」などです。

モニターで「スーパースリー」の唄などがループで流れていて懐かしさに震えました。
「チキチキマシーン」全車のイラストボードもありました。クロイツェルスポーツとハンサムV9の名前が思い出せなかった。不覚…

ハンナ・バーベラはヒーロー作品も多数あり、それらの展示もあるかなと期待していましたが、残念ながら僅かしかありませんでした。
※「大魔王シャザーン」の展示は少しですがありましたよ。
個人的に、「宇宙怪人ゴースト」「電子鳥人Uバード」「怪獣王ターガン」「アストロ超人ジャンボ」などが大好きでした。
ちなみにこれらの作品が好きな方は、グーグル画像検索で“alex toth”と入力してみてください。すばらしい設定画がたくさん見られますよ。
 
 

さて、今回は撮影不許可の展示が多く、見た目の寂しい記事になりましたが、せっかくなので無駄話を続けたいと思います。
 

私の好きなトムとジェリーのエピソード

■ 「なにがなんだかわからない」

アッポン! アッポン! ベロベロベロ~ で有名なお話。トムが完全勝利した希少回でした。
猫派な私にはトムの勝利が嬉しかった。ジェリーも好きだけど。

■ 「人造ネコ」

ロボットの猫に仕事を奪われて家を追い出されるトム。
暴走するロボット猫の挙動が可笑しい。

■ 「悲しい悲しい物語」

目を充血させて鉄道の線路に座り込むトム。彼は美人の白猫に入れあげて全てを失ったのでした。
彼を哀れむ親友のジェリーでしたが、そのジェリーも同じ運命に…
ラストシーンの二人の姿と、迫りくる汽車の汽笛が印象的な最終回 (違います)
 
 

真ん中の話

「トムとジェリーの真ん中の話」として有名な“テックス・アヴェリー(人名)”の作品群。
トム&ジェリーが出てこない話なのだけれど、ほとんどの作品が傑作で、カートゥーンの歴史の上で極めて重要な地位を占める。
展覧会の内容に含まれないけれど、超絶に大好きなのでこの機会に語っておきます。
※ 普段は“テックス・エイヴリー”と呼んでいますが、検索されやすいようにwikiにも載っている“アヴェリー”に統一します。

★★ ベスト・オブ・テックス・アヴェリー ★★

■ 「勝利はいただき」

ドルーピー兄弟をねらう雇われオオカミ。
口笛のメロディーひとつで失敗も軽く乗り越える。最後にはTVスターに転身するという離れ業をやってのけた。
この作品で男の生きざまを学びました。

■ 「冬眠中はお静かに」

ウッと口を押えて山の上まで駆け上がり、「オォ~~ッ」叫ぶアレ。
トムとジェリー「王様を起こさないで」でも流用された不滅のギャグ。

■ 「へんな体験記」

死んだ若者が神さまの前で生前のことを話すんだけど、スラングばかりで意味が通じない。
ベロを取った猫が振り返るラストシーンが忘れられない一作。

■ 「月へ行った猫」

人間に嫌気がさした黒猫がロケットで月に行く。でもそこは地球より狂った世界だった。
作者の猫愛が半端ない。文句なしの大傑作。

■ 「うらやましいテレビ」

大人気“未来シリーズ”の一編。
天丼ギャグで死ぬほど笑った。
 
 

もう書ききれないのでこのへんでやめときます。
とにかく、この時代のカートゥーンは、かけがえのない人類の宝だと断言しておきましょう。
 

札幌での開催は2月1日までなのでお見逃しなく…