地味に凄い! キウス周堤墓群を見てきた!

キウス周提墓群の入り口

国道337号線を長沼から千歳方面に向かって走ると、道東自動車道の下をくぐる手前あたりの左手に“キウス周堤墓群”という遺跡が現れます。
ここは、北海道に数多く残る縄文時代の遺跡のひとつで、“周堤墓”と呼ばれる独特な形をした墳墓が集中する場所なのでした。
周堤墓とは、大きく円形に掘り下げた土地に墓穴を作り、その周りを高い土手で取り巻いた、大規模な集団墓のことです。造られたのは3200年ほど前のことだとわかっています。
“キウス周堤墓群”には8基の周堤墓が集まっており、それらの貴重な遺跡群を間近で見ることができるスポットとして一般に開放されています。

ここの存在は知っていても、いつも横目に通り過ぎるだけでしたが、今回はじめて立ち寄って散策してみることにしました。縄文だけに、ちょっとドキドキしますね。

 

案内板です。
縄文の文字が含まれるロゴマークは、「北海道・北東北の縄文遺跡群」を世界遺産にと活動するプロジェクトのマークだそうです。ここはそれらの遺跡群のひとつということですね。
史跡とありますので、ここは遺跡の中でも特に学術的価値が高いと評価されているところのようです。
 

ポストのような木箱が設置されています。
これはなんでしょうか?
 

中にはパンフレットが収められていました。
これは自由に持ち帰っていいようです。
史跡に関しての詳しい情報が載っています。これは読みやすく、出来が良いガイドです。
日本語以外にも、四か国の言語版がありました。世界遺産登録への強い意欲が感じられます。
 

森の中に足を踏み入れます。
この先に周堤墓が点在するようです。
本来は順路にそってウッドチップが敷き詰められているそうですが、今は落ち葉と雪に隠されて見えません。
所々に、まだ真新しい感じの案内板が立てられています。
必要な情報が平易な文章で書かれており大変親切。図版も見易いです。
 

この画像があれば、わたしの下手糞な文章など必要ありませんな!ははは…
 

! 右下のイラストに注目。

誰だ?チミは?
このキャラクターは、「ママチくん」という名で、千歳市文化財のキャラクターとのこと。
ママチ遺跡で見つかった土面がモチーフだそうです。
この後の案内板でも、いろんなポーズで現れます。
微妙だけど………好きだな、こういうセンス…
 

2号周提墓です。
周堤(土手)の高さが5.4メートルもあるという大きな墓。
残念ながら、登って見ることができないので、周堤の高さも窪みの深さも実感しずらいです。
ここの中心部では、石に囲まれた楕円形の墓穴と、土偶の破片が見つかったそうです。
その土偶の破片は、千歳市埋蔵文化財センターで見ることができます。
 

1号周堤墓です。
83メートルの外径があり、規模はキウス周堤墓群で最大。
ジェット旅客機の全長が収まるスケールとパンフレットにありました。
この写真ではぜんぜん伝わらないと思いますが、周堤に登って見下ろした印象は確かにデカい!
木々が生えてしまって、イマイチ人工物という感じが薄いですが、そこは想像力を働かせましょう。
3000年以上も昔、ここを聖なる土地とし、長い月日を費やして穴を掘り、土を盛り上げた縄文人の姿が目に浮かんできます。
当時としては相当大規模な土木事業だったはず。彼らを衝き動かしたのは、何かの信仰だったのでしょうか、それとも、埋葬されていた人たちへの想いだったのでしょうか…
 
 

文章にある立石は、千歳市埋蔵文化財センターに実物があります。

この写真のほうが若干スケールが伝わるかも。
現地を訪れて実際に見てみることを強くお勧めします。

今の時期、木々の葉は落ちて、構造物が見やすくなっています。
これが夏場なら、緑に覆われて自然と区別が付きづらくなっていると思います。
前日の雪で足場が悪く、靴は汚れてしまいましたが、この時期に訪れて良かったのかもしれません。
とにかく、静かな森の中で、はるかな昔に思いをはせるのも素敵なことではないでしょうか。
 

倒木にキノコが生えていました。
 

冬の森も意外に美しい。
いたるところで野鳥がさえずり、枝から枝へと飛び移る姿が見られました。
野鳥観察にも良い場所です。
 


 

次回は、この史跡に関する知識を深めるために“千歳市埋蔵文化財センター”を訪ねます。
乞うご期待。