【ガンダム】 富野由悠季の世界を覗いた! 【イデオン】

北海道立近代美術館で開催されている特別展「富野由悠季の世界」へ行ってきました。
「機動戦士ガンダム」「伝説巨神イデオン」などのレジェンド級SFアニメの創造者として知られる富野由悠季氏。
この特別展は、55年に渡る氏の仕事を膨大な資料をもとに独自の視点で俯瞰した大変興味深い内容となっています。
これから来場される方のためになるよう、見どころなど簡単にご紹介したいと思います。

会場の北海道立近代美術館です。

会場内は撮影が禁止なので、すばらしい展示品の数々を写真でお見せできないのが残念です。
会場入り口前のオブジェやミュージアムショップの写真はOKだったので、本文の間に散りばめておきます。

日輪の力を借りて…

凄かったー!
ガンダムやイデオンのデザイン資料などが見られるかもと会場に足を運んだんですが、この特別展の内容は想像以上の濃ゆさで圧倒された次第です。
「演出という概念」に迫るというコンセプトゆえ、メインの展示物は富野由悠季氏 (以下“監督”に統一します)の手による企画書、絵コンテのたぐいです。
しかし侮ってはいけません。
上層部やスポンサーを納得させるのが目的ですから当然なんですが、監督の企画書は読んで面白く、また放送された作品と違う点も散見され、一文漏らさず読む価値はあります。監督の字もわりと読みやすいので苦になりません。
絵コンテは、全展示品の中で一番数が多いはず。
たとえば「勇者ライディーン」のオープニング。
あの勇壮な曲に合わせて、ブルーガーが飛翔~小型機分離~ライディーンの戦闘という最高にカッコいいシーンの直筆コンテが見られます。
右脳をフル回転させて頭の中で映像を作り上げながら鑑賞しましょう。
絵コンテは地味な展示物ですが、一つ一つコマを追っていくのが楽しいですよ!
 
アドバイスその1

文書や絵コンテはテーブル上のガラスケースに入っているので、屈みこんで見る状態になります。
お客さんが多いとそれが難しくなるので、比較的空いている平日に来場するのが吉と思われます

 
 

「勇者ライディーン」に登場するバイク

監督はアニメーター上がりの人ではないので、大して絵が上手い人じゃないだろうと思い込んでいました。
すいません!
わたしの誤解でした。
少年期の監督によるロケットのイラストにはすでに大器の片鱗が…
リアリズムにこだわる傾向は昔からだったんですね。
そして後年、
作品の世界観を作り上げ、イメージをスタッフと共有するには、言葉だけではなく視覚的な資料が必要となるのは当然。
富野監督はそれぞれの作品で自身の手によるイメージ画を用意していたのでした。
ガンダムではジオン側のメカ、イデオンではバッフクランの兵器など、ほぼそのままのデザインで放送時に登場したものが数多くあるのは驚きでした。
清書されてない雑な絵だけれど、監督のイマジネーションは本職デザイナーに勝るとも劣らない、センスに溢れるものでした。
※でもいくつかのモビルアーマーはあんまりカッコイイとは思えん…
絵コンテの場合ですけど、ラフに描きがちなコンテ内のキャラの顔なんかをわりとしっかり似せて描いてあるのが面白い。器用です。
画家を志したこともある人なんで、上手いのは当然ですよね。
演出の人ということで長い間誤解をしていましたよ。
 
 

特設ショップでは、ここでしか手に入れられないグッズが沢山。

この特別展のみどころは監督の手書き資料だけではありません。
富野作品を支えた安彦良和氏、大河原邦男氏、湖川友謙氏などの直筆画が見られます。これは必見です。
印象に残ったものを具体的に上げていきます。
○ ガンダム第一話、クライマックス戦闘シーンのレイアウト画
  逃げるザクを追って飛び上がるガンダム、驚愕するジーン、ザクを両断して着地するガンダム。安彦氏によるこれらの直筆画!!
○ ガンダムキャラ設定画
  カイ、ミハル、マチルダさんなど、安彦氏の直筆画(えんぴつ?)
○ グフ設定画
  大河原氏の手による。ガワラ立ちかよ!
○ 湖川氏によるイラスト、サブマリンによる設定画
  イデオンのデザイン、私は嫌いじゃありません!
○ 劇場版ガンダムのポスターアート原画(安彦氏)
  目ン玉ヒン剥いて見ておけヨ! マジすげぇから!

どれもケースにへばりついて鑑賞しました! 感無量であります!
各種アートの展示もかなりの量です。
コアなファンのあなたもきっと満足することでしょう。
 
 

図録は高いですが、すっごい内容濃いですよ。

来場当日、後に用事があって2時間の鑑賞時間しかとれませんでした。
六部構成のうち、ガンダム、イデオンの展示がある第二部を観終えたところでタイムアップ。
全体の3分の1を観終えたにすぎないのに無念の退場となりました。
第三部以降は、ダイターン、ザブングル、ダンバインなど人気作が続きます。
監督の作品はほぼ全て網羅されているので、ファンの方は安心して来場してください。
私は観れなかったけど逆シャアの資料とか観たかったなぁ…
 
■ アドバイスその2
 
展示物を本気で鑑賞し尽くしたいなら最低5~6時間は必要でしょう。
しっかり計画を立て、二手、三手先を読んで来場するべきです!

 
 

「概念の展示」を謳っているこの特別展。
作画陣の展示が豊富で目を引くわりに、トータルに観て富野監督そのものへの理解が深まる構成になっていることに感心しました。
このテーマ展を企画し実現した学芸員の並々ならぬ情熱に頭が下がります。
面白かった!
私なりのガンダム論もないではないのですが、マジファンのディープな見解には太刀打ちできないので、発表を控えます (笑)
いずれにせよ富野由悠季氏は日本の映像文化に多大な影響を与えた偉人。
今後も応援し続けたいと思います!!
 
 

開催場所 北海道立近代美術館 (札幌市)
 

開催期間 2021年11月17日(水)~2022年1月23日(日)
時間   午前9時30分~午後5時
休館日  毎週月曜  年末年始(12月29日~1月3日)
鑑賞券  一般 1,500円 高大生1,000円 小中学生 700円
 

最新の情報等は公式でご確認ください。